vol.015(2018/05/12)『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』

1.書誌情報

書名:ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学

著者:入山 章栄

発行日:2015年11月20日

発行者:日経BP社

Amazonリンク: http://amzn.asia/529somp

 

2.目次

【Part1】いま必要な世界最先端の経営学
【Part2】競争戦略の誤解
【Part3】先端イノベーション理論と日本企業
【Part4】最先端の組織学習論
【Part5】グローバルという幻想
【Part6】働く女性の経営学
【Part7】科学的に見るリーダーシップ
【Part8】同族企業とCSRの功罪
【Part9】起業活性化の経営理論
【Part10】やはり不毛な経営学
【Part11】海外経営大学院の知られざる実態
【経営学ミニ解説】

 

3.内容紹介

本書は経営・ビジネスのさまざまな問題について、最新(といっても2015年時点ですが)経営学研究の知見をご紹介していくものです。

上記の目次をさらに細かく章別に見ていくと、本書でどんな問いが紹介されているかわかりますので、ここで掲載したいと思います。

【Part1】いま必要な世界最先端の経営学

第1章 なぜビジネススクールでは最先端の経営学が学べないのか

第2章 「経営は役に立たない」についての二つの誤解

【Part2】競争戦略の誤解

第3章 あなたの会社の戦略がうまくいかない、最も根本的な理由

第4章 成功しやすいビジネスモデルの条件とは何か

【Part3】先端イノベーション理論と日本企業

第5章 イノベーションの絶対条件!「両利きの経営」を進めるには

第6章 なぜ大企業は革新的イノベーションについていけないのか

第7章 「チャラ男」と「根回し親父」こそが最強のコンビである

【Part4】最先端の組織学習論

第8章 組織の学習力を高めるには、「タバコ部屋」が欠かせない

第9章 「ブレストのアイデア出しは、実は効率が悪い!

第10章 「失敗は成功のもと」は、ビジネスでも言えるのか

【Part5】グローバルという幻想

第11章 真に「グローバル」な企業は、日本に3社しかない

第12章 「世界がグローバル化した」「フラット化した」を疑え

【Part6】働く女性の経営学

第13章 日本企業に、ダイバーシティー経営は本当に必要か

第14章 男性中心職場での「できる女」の条件

【Part7】科学的に見るリーダーシップ

第15章 これからのリーダーシップに向くのは、どのような人か

第16章 成功するリーダーに共通する「話法」とは

【Part8】同族企業とCSRの功罪

第17章 日本最強の後継社長は「婿養子」である

第18章 CSR活動の思わぬ副次効果とは

【Part9】起業活性化の経営理論

第19章 日本の起業活性化に必要なこと(1)簡単な「キャリア倒産」

第20章 日本の起業活性化に必要なこと(2)サラリーマンの「副業天国」

第21章 成功した起業家に共通する「精神」とは

【Part10】やはり不毛な経営学

第22章 「もうかる理由って結局なに?」を突き詰める学者たち

第23章 「リソース・ベースト・ビューが捉えきれないこと」とは何か

【Part11】海外経営大学院の知られざる実態

第24章 ハーバードを見て、米国のビジネススクールと思うなかれ

第25章 米国の大学の裏事情は、中国人が一番知っている

第26章 来たれ!世界最先端の経営学を語る人材よ

ちょっと長くなりましたが、いかがでしょうか。

企業経営に関わる方であれば興味をそそる話題ばかりではないでしょうか。

興味のあるパートだけをつまみ読みしていただいてもよいかもしれません。

もちろんこうした問いに関して書かれた本はこれまでもたくさんありました。

しかし、その多くはある経営者の体験談であったり、数社の企業の事例だったりということがほとんどではないかと思います。

そうした個別の「症例報告」ではなく、調査や統計データの分析に基づく研究結果をご紹介しているのが本書の特徴です。

 

ダイバーシティ経営の効果

イメージがわくように、本書で紹介される研究成果を一つ例示しましょう。

第13章で、ダイバーシティ経営に関する研究が紹介されています。

女性、外国人の活躍推進が叫ばれるようになってかなりの時間が経ちました。

ところが、ダイバーシティ研究では「性別・国籍などを多様化することは、組織のパフォーマンスによい影響を及ぼさない」といった研究もあり、さまざまな議論がありました。

実際に「外国人を雇用したが、考え方が違って大変だ。軋轢を生んでいる」という企業の声もあります。

こうした議論が進む中、近年の研究結果によって、「デモグラフィー型の人材多様性ではなく、タスク型の人材多様性が組織パフォーマンスにプラスの効果をもたらす」ことがわかっています。

つまり、性別や年齢・国籍といった多様性ではなく、技術や能力・経験の多様性を追求することが大切である、ということです。

本書では、こうした「すでに常識として定着しつつあるビジネス上の考え方」についても見直すきっかけとなる知見も紹介されています。

 

4.こんなときに!経営への活かし方

「経営学は実際の経営の役に立つのか?」

これは本書の第2章でも触れられている問いです。

その答えは、経営学に「正解」を求めるか、経営学を「思考の軸」として使うかによって大きく異なります。

これは経済学でもよくあることですが、経営学の知見については、「まあ、そりゃそうだよね」といったものもたくさんあります。

例えば、「昇進しやすい女性社員は、男性社員とも、女性社員とも積極的に交流している」といった研究結果があります。が、これは肌感覚でそうだろうという感じはします。

しかし、「肌感覚でなんとなくAの方がよさそう」というのと、「研究結果にもとづいて論理的にAの方がよいはずだ」というのとでは、判断に対する自信、決断したことによって引き起こされた結果の受け止め方に大きな差が出るのではないでしょうか。

そもそも世の中の会社が置かれている外部の環境、内部の状況は千差万別であり、その中ですべての会社に当てはまる同一の正解は存在しません。

究極的にはケース・バイ・ケースです。

ですが、経営学の知見を踏まえた上で経営判断を行うことで、求める結果に手が届きやすくなることはきっとあるのではないでしょうか