1.書誌情報
書名:世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事
著者:津川 友介
発行日:2018年4月13日
発行者:東洋経済新報社
Amazonリンク: http://amzn.asia/fvQpFQ6
2.目次
はじめに
第1章 日本人が勘違いしがちな健康常識
第2章 体に良いという科学的根拠がある食べ物
第3章 体に悪いという科学的根拠がある食べ物
特別編 病気の人、子ども、妊婦にとっての「究極の食事」
3.内容紹介
僕は今年で32歳になるのですが、そろそろ健康に気を遣おうという年齢になってきました。
ひとり会社の経営者としては、自分が倒れたらその時点で大部分の仕事が止まり、事業の継続が難しい状況です。
さて、本メルマガの読者もその多くが僕と同年代かあるいは、それ以上の方が多いことかと存じます。
読者のみなさんは、経営者であったり、第一線で活躍されるビジネスパーソンであったり、おそらく余人をもって替えがたい存在でしょう。
持続的な働き方のためには「健康であること」がとても重要であることには異論はあまりないのでは。
本日紹介する『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』は、こうした健康であり続けるための食事について、現在わかっているエビデンス(科学的根拠)に基づいて、わかりやすくシンプルにどのような食事を摂るべきかがまとめられた本です。
本書が巷に氾濫する「健康本」と一線を画するのは、ここで紹介されている食事はすべてエビデンスがあるものだけ、というところです。
書店に並ぶ「健康本」やTVで目にする健康情報、インターネットで検索して上位に表示される健康情報など、その多くが科学的根拠に乏しく、その確実性よりキャッチィさが優先されたものばかりです。個人の体験などに基づくブログ記事なども、効果の検証がされたものではありません。
健康になるための食事についてはこれ一冊を読めば十分な内容になっています。
健康に良い食品、悪い食品
本書では、健康に良いか悪いかについて、エビデンスの強さに応じて食品を5つのグループに分類しています。
グループ1は、健康に良いということが複数の信頼できる研究で報告されている食品。
グループ2は、健康に良いかもしれない食品。少数の研究で健康に良い可能性が示唆されている。
グループ3は、健康へのメリットもデメリットも報告されていない食品。
グループ4は、健康に悪いかもしれない食品。少数の研究で健康に悪い可能性が示唆されている。
グループ5は、健康に悪いということが複数の信頼できる研究で報告されている食品。
つまり、単純化して言えば、グループ1の食品を多めにとって、グループ5の食品を控えるようにすれば、健康リスクを下げることができる、ということです。
実際にこれらグループ1とグループ5に該当する食品も紹介してしまいますが、これがなかなか衝撃的な結果です。
グループ1:魚、野菜・果物、茶色い炭水化物(玄米、蕎麦、全粒粉パンetc)、オリーブオイル、ナッツ類
グループ5:赤い肉(牛肉、豚肉etc)、白い炭水化物(白米、パスタ、らーめん、うどん、精粉パン、じゃがいもetc)、バターなどの飽和脂肪酸
日本人としては「白米がダメなんですか……?うどんもらーめんも?焼肉とかも??」みたいな感じでかなり辛い結果です。
ただし、本書では注意点として、グループ5の食品も健康に良くないということであって「食べるべきではない」と述べられています。
あくまで健康に良くないことを理解した上で、バランスよく食を楽しみましょう。
僕も白米断絶するのとか無理です。
成分ではなく食品で考える
「野菜が健康に良い、赤い肉が健康に悪い、ってあるけど、どの成分のせいでそうしたことが言えるの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません(僕も表紙の帯紙だけ見た時そう思いました)。
これは僕も初めて知ったのですが、現在の医学研究では、「食品」が重要なのであって「成分」が重要なのではない、ということがわかっているそうです。
例えば、リコピンが多く含まれる健康や美肌に良い食品としてよく挙げられるトマトがありますが、トマトが食品として健康に良いのであって、その成分であるリコピンが健康に良い、というエビデンスはないそうです。
人参やかぼちゃなどに多く含まれるβカロテンという成分があります。
これも一時期は健康に良い成分ということで、さまざまな飲料水に添加されたり、サプリメントが販売されていましたが、現在の研究結果では、βカロテンという成分だけをサプリメントで摂取するとがんのリスクが増加するとのこと。マジかよ。
また、これも僕は目からウロコだったのですが、ダイエットする際に、カロリーの数値を気にするのではなく、これもまた食品単位で考えた方がよいとのこと。
これまでは単純にカロリーの収支のことしか考えていませんでしたが、今後見直したいと思います。
4.こんなときに!経営への活かし方
健康に関心のある経営者必読の書です。
これまであなたが得てきた健康情報はどれだけ根拠のあるものだったでしょうか。
本書はエビデンスに基づく健康になるための食事に関する情報が必要十分に網羅されています。
内容もコンパクトで1時間前後くらいでざっくり読みきれるはず。費用対効果は素晴らしく大きい投資です。
また、この本では「その言説にエビデンスがあるのか」という視点が一貫して盛り込まれています。
こうした考え方は、健康情報だけでなく、経営全般で重要な観点です。
経営学やマーケティングでもさまざまな研究がされています。
経営者の書いた自伝などを読むと「社内の掃除を自分たちでさせることで従業員の心が育った」といった言説が見られますが、こうした社内清掃が本当に効果があるかどうかはエビデンスがなくてはわかりません。
もちろん効果はあるかもしれませんし、試しにやってみよう、というのはとても大切です。
一方、「すでに研究されていてエビデンスがあるか、ないか」という観点を持って事前にリサーチすることも効率的な経営を図る上では重要になります。
「健康な食事」というテーマそのものも、「エビデンス」というメソッド・考え方としても役立つ本です。
ぜひご一読ください。