vol.014(2018/04/28)『「原因と結果」の経済学―データから真実を見抜く思考法』

1.書誌情報

書名:「原因と結果」の経済学―データから真実を見抜く思考法

著者:中室 牧子,津川 友介

発行日:2017年2月17日

発行者:ダイヤモンド社

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2.目次

第1章 根拠のない通説にだまされないために
「因果推論」の根底にある考えかた
第2章 メタボ健診を受けていれば長生きできるのか
因果推論の理想形「ランダム化比較試験」
第3章 男性医師は女性医師より優れているのか
たまたま起きた実験のような状況を利用する「自然実験」
第4章 認可保育所を増やせば母親は就業するのか
「トレンド」を取り除く「差の差分析」
第5章 テレビを見せると子どもの学力は下がるのか
第3の変数を利用する「操作変数法」
第6章 勉強ができる友人と付き合うと学力は上がるのか
「ジャンプ」に注目する「回帰不連続デザイン」
第7章 偏差値の高い大学に行けば収入は上がるのか
似た者同士の組み合わせを作る「マッチング法」
第8章 ありもののデータを分析しやすい「回帰分析」

 

3.内容紹介

いきなりですが、次の3つの質問について考えてみてください。

  • メタボ健診を受けていれば長生きできる
  • テレビを見せると子どもの学力は下がる
  • 偏差値の高い大学へ行けば収入は上がる

これらの質問、あなたは「Yes」だと思いますか?「No」だと思いますか?

実は、これらの問題については、すでに経済学の研究者により研究がされており、学問的な答えが出ています。

そして驚くべきことにこの3つの質問の回答はいずれも「No」であるとされています。

世の中でよく言われている感覚的な答えとはちょっとちがいますね。

これらを「Yes」と考えてしまうのは、「因果関係」と「相関関係」の区別が曖昧になってしまっているからなのです。

 

因果関係と相関関係

別の例を挙げましょう。

日本の都道府県別体力テストと学力テストの結果を分析すると、体力テストの結果のよい子どもは学力テストの結果もよいらしいです。

では、学力の高い子どもは、体力が高いから学力が高いのでしょうか?

もし、体力が高いことが学力の高さの理由であるならば、体力を鍛えることが、学力向上にもつながります。

が、もちろんそんなことはありませんね。

これはわかりやすくイメージしやすい「相関関係はあるが、因果関係はない」例です。

そして、実は先程の3つの質問もこれと同様で、「相関関係はあるが、因果関係はない」のです。

「2つのことがらのうち、どちらかが原因でどちらかが結果である」状態を因果関係があるといいます。

一方、「2つのことがらに関係があるものの、原因と結果の関係にないもの」のことを相関関係があるといいます。

相関関係の場合、「一見すると原因のように見えるもの」(ここまで挙げた例で言えば、メタボ健診を受ける、テレビを見る、偏差値の高い大学へ行く、体力をつける)を変えても、結果を変えられない、ということが起こります。

つまり、相関関係を因果関係と誤解したまま、何らかの施策、対策を打っても、期待したような結果が起こらないのです。

 

正しい経営判断のために

こうした相関関係を因果関係と誤解してしまうと、さまざまな判断の誤りを招きかねません。

例えば、前年末に初めてチャレンジしたクリスマスキャンペーンを打ったところ、例年より売上が5%向上したので、今年はさらに予算を倍増してキャンペーンを実施しよう、といった話があったとします。

しかし、その売上が5%向上したという結果が得られた原因が、本当にクリスマスキャンペーンだったのかどうかというのは検証してみなければわかりません。

元々例年より前年が景気がよくなったから、かもしれませんし、たまたまその商品が何らかの雑誌で取り上げられたから、かもしれません。

正しい経営判断をするためには、こうした因果関係を理解し、めざす結果に対して効果のある原因に対する手立てを考えなければなりません。

本書ではこうしたそのことがらが因果関係なのか単なる相関関係なのかを見極める因果推論という方法論が丁寧に説明されています。

さまざまな因果推論のパターンを学び、日々の判断に活かしていきましょう。

 

4.こんなときに!経営への活かし方

企業において、何らかの行動を起こすときには、人材や時間、お金といった限られたリソースを投入することになります。

その時に、因果関係があるように見えて実はそうではない思い込みや、根拠のない一般論を信じて行動してしまえば、そうしたリソースを無駄遣いしてしまうことになります。

本書によって因果推論の考え方を身に付け、正しく物事を捉え、判断できる力を伸ばしましょう。

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