こんにちは、戸田です。
2018年2月17日です。
先週はお休みをいただいておりまして2週間ぶりの配信となります。
少しずつ陽射しが暖かくなってまいりましたが、みなさまもお身体ご自愛くださいませ。
それでは、経営読書塾メールマガジンvol.006をお届けします。
本日のコンテンツはこちら。
目次
1.レビューNO.6『日本再興戦略』
2.質問&レビュー募集
3.お知らせ
4.編集日記
5.次回予告『サクッと起業してサクッと売却する 就職でもなく自営業でもない新しい働き方』
それでは、さっそくブックレビューに入りましょう。
1.レビューNO.6『日本再興戦略』
1-1.書誌情報
書名:日本再興戦略
著者:落合陽一
発行日:2018年1月30日
発行者:幻冬舎
Amazonリンク: http://amzn.asia/eDXUxGz
1-2.目次
はじめに:なぜ今、僕は日本再興戦略を語るのか?
第1章 欧米とは何か
第2章 日本とは何か
第3章 テクノロジーは世界をどう変えるか
第4章 日本再興のグランドデザイン
第5章 政治
第6章 教育
第7章 会社・仕事・コミュニティ
1-3.内容紹介
ピクシーダストテクノロジーズ株式会社 代表取締役社長、筑波大学 学長補佐・デジタルネイチャー推進戦略研究基盤 基盤長・図書館情報メディア系 准教授 デジタルネイチャー研究室主宰……といった肩書を持ち、「現代の魔法使い」として昨今メディアにも取り上げられている落合陽一氏の最新作。
今の時代にそぐわなくなっている日本の社会、制度、意識、産業、政治、教育、仕事、コミュニティ……。こうしたさまざまな分野において、個別ではなく全体のパッケージとして、テクノロジーの力を用いたアップデートが必要だ、と彼は述べます。
それを端的に表しているのが、本を開いて最初に目に飛び込んでくる序文。
これが本書の最も言いたかったことであると思われるのでそのまま引用します。
人間存在や国家ビジョンなどの我々のアイデンティティに関わる分野を聖域的にとらえ、それらからすればテクノロジーを些細な一分野であるような見方をする人々もいます。
しかしながら我々はテクノロジーによって知を外在化し、生活を拡張し、人間存在それ自体の自己認識を更新し続けてきたのです。
テクノロジーという人の営みが生んだ文化を見直し、テクノロジーが刷新する人間性や文化的価値観を考慮することは、これからの人の営みにおいて不可欠であり、自然の中から生まれた人間存在は、人間が生み出したテクノロジーによる新たな自然を構成することで自らの存在や定義という殻を破り、更新されうると僕は考えています。
テクノロジーは世界をどう変えるか
目次の通り、第1〜2章で日本の近代史を振り返りながら、第3〜4章でテクノロジー、日本再興戦略といった全体論、第5〜6章で各論として政治、教育、仕事・コミュニティについて語られます。
これらのすべてに通貫するのが、歴史の流れの中で、テクノロジーがどのようにこの国の形を変えてきて、またこれからどのように変えていくのか、ということです。
本書では、「『欧米』という概念を見直す」「士農工商という考え方をアップデートする」「ワークライフバランスからワークアズライフへ」などなど、さまざまな興味深いトピックが盛り込まれています。
が、ここではテクノロジーがもたらす産業の変化、そして新たなテクノロジーの導入に日本が有利である、という2つの点についてご紹介します。
テクノロジーは産業に何をもたらすか
AI、ビッグデータ、自動運転、ロボット、AR・VR、ブロックチェーンなどのテクノロジーがメディアを賑わせています。
しかし、これらのテクノロジーについて、別個のものとして着目していてもおそらくその本質はつかめないでしょう。
これは、戸田の個人的意見も入りますが、こうしたテクノロジーの発展の本質は「個別最適化のコストが極小化された」ことにあるかと思います。
例えば、顧客管理。
かつては高額な専用のシステムが必要でした。
しかし、コンピュータの計算処理性能が向上することによって、データ処理のコストはどんどん小さくなっています。
そのため、顧客一人ひとりの嗜好を購入歴などから簡単に分析することができ、その嗜好にあわせた個別の提案をすることも容易になっています。
例えば、コミュニケーション。
書類でのやり取りが中心であれば、報連相には数日〜数週間を要します。
それがメールやチャットなどのネットワークを利用したツールが登場することにより、遠く離れていてもリアルタイムに通信することが可能になりました。
また、本書で紹介されていますが、5G(第5世代移動通信システム)が普及すれば、TV会議などのタイムラグはほとんど体感できないレベルになり、遠隔でのコワーキングも一層推進されていくでしょう。
「大量生産大量消費から少量多品種の時代に移った」というのは随分前から言われていますが、テクノロジーがさらに発展することによって、こうした傾向がより劇的に進みます。
こうした中、これから求められるのは、誰にでも合う標準化された製品や人材ではなく、個別のニーズに対応した多様な製品、多様な人材になるでしょう。
人口減少はテクノロジー導入のチャンス
さて、こうしたテクノロジーの発展していくと、いつの時代にも「仕事が奪われる!」という話になります。ラッダイト運動とか学校で習いましたよね。
現代日本においても「AI・ロボットによってこれだけの仕事がなくなる!」といった報道が扇情的になされているのを見ることができます。
しかし、です。
前回の経営読書塾では「ダイレクト・リクルーティング」という採用手法を紹介しましたが、そう、今の日本は絶対的に人手不足なのです。
こうした現状において、機械による省力化は社会正義と言えます。
ちょっと余談ですが、さらに日本で生まれ育った人々は、外国諸国で育った人々と比べ、ロボットとの親和性が比較的高いと思われます(残念ながらデータは見つからなかったのですが)。
それは、古くアトム、ドラえもん、最近では初音ミクなどなど、ロボットやAIをよきパートナーとした物語に多くの国民が触れてきている、というのがあります。
現在、人口減少・少子高齢化において日本はトップランナーであり、課題先進国です。
一方、日本ではこうした課題をテクノロジーの力で乗り越えやすい土壌があります。
テクノロジーの導入によって、こうした課題を上手く解決することができれば、その技術・仕組みを海外に輸出していくことも可能でしょう。
それが日本の再興につながっていく一助になるのではないかと思います。
1-4.こんなときに!経営への活かし方
経営者たるもの、過去の歴史と未来の予想をふまえて、将来ビジョンを描いていかなければなりません(や、僕はできてませんけど)。
「日本のビジョンを考え、日本を変えていく」というのはかつては政治の仕事だったかもしれません。
しかし、テクノロジーの進展によって、これまで以上に民間がその役割を持つことの可能性・重要性が高まっています。
こうした現代の変化をキャッチし、刺激を受けるのには最適な一冊でしょう。
2.質問&レビュー募集
「経営読書塾」では、塾生(読者)のみなさまからの質問や感想、コメントなどなど、いつでもお待ちしております。
このメールにそのまま返信できますので、お気軽にお寄せください。
いただいた質問については、その次の配信でご回答させていただく予定です(内容によっては個別にご回答いたします)。
「こんな本をレビューしてほしい」といったご要望もお待ちしております。
また、「自分もレビューを書いてみたので紹介してほしい!」といった持込も大歓迎です。
レビューを書くと、自分の頭の中が整理され、また読んでみるだけでは気付かなかった発見があるかもしれません。ぜひチャレンジしてみてください。
3.お知らせ
LINE BOT勉強会 IN 掛川を開催します
いよいよ来週!
2月21日(水)静岡県掛川市にて「LINE Bot勉強会 in 掛川~LINE Botを活用してもっとコミュニケーションを~」を開催します。
講師はLINE株式会社 Developer Relationsチーム所属の立花翔さんです。
お近くにお住まいの方で、チャットBOTに興味のある方はぜひご参加ください。
詳細・お申込みはこちら↓
https://aramahoshi.jp/2018/01/25/linebot
4.編集日記
落合陽一氏には数年前から注目していて、彼の著作はすべて目を通しています。
今回は最新作ということもあり、『日本再興戦略』を紹介しましたが、テクノロジーがもたらす変化についてより深く学びたいということであれば『魔法の世紀』(PLANETS)を、もしあなたがまだ何者でもなく、けれど主体的に生きて主体的に社会を動かしていきたいのであれば『これからの世界をつくる仲間たちへ』をおすすめします。
本書もどの本もそうですが、読んだだけで自身の行動が何も変わらないのであれば、そこに大きな意味はありません。
落合氏は本書でも講演でもTwitterでも「ポジションを取れ」と言っています。
「批評家になるな。手を動かせ」とも。
とにかくやってみましょう。やってみなければ何事もわからないし、変わらないのです。
5.次回予告『サクッと起業してサクッと売却する 就職でもなく自営業でもない新しい働き方』
次号で取り上げる本はこちら。
正田圭『サクッと起業してサクッと売却する 就職でもなく自営業でもない新しい働き方』(CCCメディアハウス,2018)
Amazonリンク: http://amzn.asia/8JN3JYo
15歳で起業し、そして会社売却までを経験した若手経営者、正田圭さんによる起業&売却のススメです。
なかなか日本では少ない売却までを見据えた考え方をご紹介します。
お楽しみに。